クレタ島はギリシャ最大の島で、四国の約半分程の大きさです。古代遺跡、ビーチ、山、峡谷、洞窟、島の豊かな美食文化など様々な要素が詰まっており、欧米からの観光客に人気があります。どこか一つの島だけでいろんな体験を求めるなら、間違いなくクレタ島がおすすめ。冬に訪れる島としても最適です。

 東西に細長く、4つの県に分かれます。メインの都市は、首都イラクリオンと、第2の都市ハニアです。この2つの街にはそれぞれ空港があり、毎日アテネからの航空便が何本も出ています。船便もあり、主に夏期、アテネや付近のキクラデス諸島との接続便が出ています。アテネからは航空便で約1時間、船便で7~10時間ほどです。サントリーニ島にも近いため、クレタ島からサントリーニ島へ、日帰り旅行もできます。

 島の北側はイラクリオンを中心に海浜リゾートが点在し、長期滞在旅行者が多いのが特徴です。東部エロウンダなどの海岸リゾートでの一週間の滞在は優雅な休日となるでしょう。

 クレタ島は、ヨーロッパ最古の文明である、古代ミノア文明発祥の地。有名なクノッソスは、クレタ島の中心都市イラクリオンの近郊にあります。いまなお解読されていない古代文字「線文字A」は、この島で使われていたもので、1900年にクノッソスで発掘されて世に知られるようになりました。

 古代クノッソス宮殿は、クレタの赤といわれる赤色が多く使われ、柱は逆エンタシスのたいへん珍しい形状をしています。宮殿は迷宮ラビュリントスになっており、ミノタウロスという牛の怪物がすんでいたと言われます。

イラクリオン

 クレタ島で一番大きい都市です。アテネからの航空便や船便の他、国際線や、近隣の島を結ぶ船便も数多く出ています。近くにはビーチリゾートもあるため、クレタ島のどこに宿泊したらよいか迷った時は、まずはイラクリオンに宿をとるとよいでしょう。

 ティラセン伝統楽器博物館
イラクリオンからわずか20kmのところにある歴史的な山岳地帯の村、クルソナスには、ギリシャの民俗音楽、楽器の博物館があります。

 イラクリオンに来たら考古学博物館を訪れましょう。クレタ島の5,500年の歴史が保存されています。ミノア文明のクレタ島出土品は、世界中でもここにしかなく、ミノア文明の美術品コレクションは世界一です。新石器時代からローマ時代までのクレタ島の出土品が多数保存されています。

クレタ島の首都イラクリオンは、何世紀にもわたっていろんな文化の元で栄えました。そのため、ビザンチン、ヴェネツィア、オスマン帝国の建造物などが町中に残っています。街のランドマークは、古いヴェネツィアの港の最西端にある16世紀のクール要塞です。

ハニア

 西部のハニアはクレタ島第二の都市。ヴェネツィア時代の面影が色濃く残る街です。旧市街は、ヴェネツィアとオスマン帝国の建築が組み合わさり、ヴェネツィア風邸宅、噴水、教会など、迷路のような路地がとても美しい街です。

港の灯台は、1570年にヴェネツィア人によって建てられたあと、1830年にエジプト人によって再建されました。ハニアでは迷路状の旧市街の小道をのんびりと散策してみましょう。

ハニアの修道院
ハニアの東、空港のあるアクロティリ半島には、クレタ島の古い修道院がいくつもあります。山の中腹に立つアギア・トリアダ修道院をはじめ、クレタ島で最も古い修道院の一つ、グヴェルネート修道院や廃墟となっているカトリコ修道院など。修道院をめぐるツアーも出ています。

クレタ島の人気アクティビティ、国立公園のサマリア渓谷のトレッキングは、ハニアが拠点となります。上流から渓谷を下っていき、最後にエーゲ海の海岸に出ます。約16kmの渓谷はヨーロッパ最長を誇り、幅は広いところで150m、狭いところで3mになります。6~8時間のトレッキングです。


レシムノン

 イラクリオンとハニアの中間、ハニアから車で60kmの位置にある、クレタ島第3の都市です。ハニアと同様に、ヴェネツィア時代の要塞や旧市街が残っており、小さなカフェから賑やかなダンスクラブやバーまで、さまざまな施設が整う賑やかな町です。フォルテッツァと呼ばれるヴェネツィア要塞が街のランドマークになっています。

レシムノンのヴェネツィアンハーバー。歴史あるヴェネツィア時代の建物にはレストランやバーが並び、フォトジェニックな美しい景色になっています。旧市街には、ヴェネツィア時代の建物の他、オスマントルコ時代の建築・モスクも残っています。

街には、ヴェネツィア時代のフォルテッツァ要塞が残っています。オスマン帝国の侵攻を防ぐために作られましたが、のちにオスマントルコに支配されてからはモスクなども建てられ、いろんな時代の建築が融合しています。内部は非常に広く、現在では様々なイベントやコンサートなどの会場としても利用されています。

 周辺の小さな村で行われる伝統的なお祭りも魅力の一つです。島の伝統楽器、クレタン・リラの音色と民俗舞踊をぜひ体験してみましょう。本格的なクレタ島のダンスは、特に夏の間、地元のフェスティバルで見ることができます。

クレタ島には、多くの種類の伝統舞踊がありますが、一番有名な踊りはペントザリスで、スピード感と高いジャンプが特徴です。18世紀の革命の戦士によって作られたと言われる戦争の踊りです。

陶器で有名なマルガリテス村はレシムノンから行ける、隠れた名所です。レシムノンの見どころの一つである、アルカディ修道院と一緒に回るツアーもあります。


ラシティ

 クレタ島のいちばん東端のエリアがラシティ県です。エロウンダビーチは高級リゾートホテルが立ち並ぶエリアで、世界中の著名人たちがバカンスに訪れます。ビーチはラグーンになっており、その景観は見事です。

アギオス・ニコラオスは、ラシティの首都です。街の中心には大きな塩湖があり、細い水路で海とつながっています。漁船が停泊できるかわいらしい小さな港、博物館やビザンチン様式の教会、賑やかな歩行者専用路、賑やかなカフェやレストランが立ち並ぶ広場があります。

エロウンダビーチの沖にあるスピナロンガ島は、ハンセン病の歴史を物語る島です。16世紀のヴェネツィア共和国の支配、オスマントルコの支配を経て、1903年から約50年間、ハンセン病患者の隔離場所として利用されました。アギオス・ニコラオスからボートツアーで行くことができます。