北エーゲ諸島は、ギリシャ本土よりも、アナトリア(トルコ)沿岸に近い諸島です。大きな島々(イカリア、サモス、レムノス、レスボス、ヒオス、サモトラケ)といくつかの小さな島々(アギオス、ミナス、アンティプサラ、ティマイナ、オイヌセス、サミオポウラ、フルノイ、プサラ)から構成されています。
ギリシャ本土から遠く離れていますが、フェリーや飛行機の接続便は豊富です。また、トルコに近いため、トルコへの日帰り旅行が可能な島もあります。
ミコノス島やサントリーニ島などのメジャーな観光地に比べて、あまり馴染みのない島ばかりですが、世界最長寿の島や、そこでしか育たない木がある島など、それぞれとても面白い文化や風習、独自の自然環境を持っています。
ヒオス(キオス)島
トルコから僅か8kmのギリシャ東部のヒオス島は、ギリシャの中でも特に不思議な島です。ピロリ菌に効く天然樹液のマスティハが最も有名で、マスティハ樹脂は世界中で、このヒオス島南部でしか取れません。他にも、イースターの危険すぎるお祭り、教会同士の「ロケット花火戦争」や、世界遺産「ネアモニ修道院」の見事なモザイクイコン、ピルギ村の幾何学模様の建物など、なんとも不思議な魅力でいっぱいです。(左写真:ピルギ村の幾何学模様)
サモス島
数学者ピタゴラスの生誕地、ピタゴリオは世界遺産に登録されています。また、ギリシア神話の最高神ゼウスの妻ヘラが生まれたとされる島で、イレオンに神殿跡があります。 トルコのクシャダシからわずか2km、古代エフェソス遺跡へ日帰り旅行ができます。島の西部には1,000mを越す山地が広がり、マスカットワインの生産地として有名です。
レスボス島
トルコ沿岸部に位置する、ギリシャで3番目に大きな島で、ウゾ(蒸留酒)やオリーブの生産がさかんです。水が豊富な島でもあり、緑が豊かです。森の上に火山灰が積もってできた石化森林の化石が発掘されており、ユネスコのジオパークに登録されています。
また、古代から現代にかけて、レスボス島では非常に多くの芸術家が生まれています。サッポー(詩人)やノーベル賞受賞者のオデュッセアス・エリティス(詩人、 エッセイスト)など枚挙にいとまがありません。
レムノス(リムノス)島
ギリシャで8番目に大きな島です。火山島ですが、現在は死火山になっています。ギリシャ神話によると、鍛冶の神ヘパイストスが、父ゼウス神によってオリンポス山から突き落とされた時に、レムノス島に落ち、この島に工房を持ったと言われています。
レムノスの村々は、精巧な石のレリーフが美しい石積みの真の傑作です。また、この島にはギリシャで唯一の砂漠や、火山活動でできた溶岩の奇岩群「ファラクラ」があり、ユニークな自然景観が魅力です。
世界でもめずらしい屋根のない教会「パナギア・カカビオティッサ」はカカボス山の洞窟にひっそりと建っており、秘境のハイキングコースとしてコアな人気があります。(右写真)
イカリア島
ギリシャ神話に出てくるイカロスが、この島の付近の海に墜落したことが由来となって名づけられました。長寿で有名な島で、日本の沖縄などとともに、世界に5か所しかない「ブルーゾーン」として長寿の秘訣の研究対象となっています。もともと地中海は長寿の地域として知られていますが、イカリア島では90歳以上の健康な人が、ギリシャの他の島の3倍も多いという結果が出ています。また、テルマ村には高濃度のラジウム温泉が湧き、国内外から湯治客が訪れます。(左写真)
タソス島
タソス島はギリシャ本土のカヴァラ県から7km、フェリーで30分ほどの距離なので、ギリシャ本土と組み合わせての旅行もおすすめです。
他のエーゲ海の島々とは異なり、山や水が多く、緑豊かな島です。大理石が取れることでも有名で、大理石の白い砂浜も名物となっています。個性的で美しいビーチがたくさんあり、なかでも、海辺の岩でできた天然プール「ジオラ・ラグーン」はこの島を代表する名所になっています。(写真は南西部のトリピティ・ビーチ)